グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



ホーム >  診療科紹介 >  小児科 >  こどもの病気「起立性調節障害」

こどもの病気「起立性調節障害」


小児科医:数間紀夫 (広報誌 こばと 2002 春号より)

起立性調節障害とは、どんな病気でしょうか?

立っているとくらくらする、なんだかフワーとする、おなかが痛い、頭が痛い、体がだるく食欲がない、吐き気がある、なんとなく自分の体でないような感じがするなど、いろいろな訴えが多く、自分でもどこが悪いのかはっきりいしない、周りからは、最近だらけている、なまけている、たるんでいるなどと見られがちになる。このようなことがあった場合、小児では起立性調節障害という病気の可能性があります。こどもから大人へ体や心が変化してゆく、ちょうど小学校高学年から高校生ぐらいの年令に起きることが多い病気です。

起立性調節障害の診断について

この病気は約50年前頃から見られるようになった病気で、そのころ病気を見つけるための診断基準が作られました。現在もこの基準が使われています。

[大症状](この病気に特徴的な症状)
  1. 立ちくらみ、めまいを起こしやすい。
  2. 立っていると気分が悪くなり、ひどいと倒れてしまう。
  3. 入浴中や、いやなことを見聞きすると気分が悪くなる。
  4. 少し動くと、どきどきしたり息切れがする。
  5. 朝なかなか起きられず、午前中は調子が悪い。

[小症状](ほかの病気でも見られる症状)
  1. 顔色が青白い。
  2. 食欲がない。
  3. 腹痛をときどき訴える。
  4. 疲れやすい。
  5. 頭痛をしばしば訴える。
  6. 乗り物酔いしやすい。
などです。この中に該当する項目が3つ以上あった場合は起立性調節障害が疑われることになります。

なぜ、このような症状が出るのか、病気の原因は何か

多くは、自律神経の働きに問題があって起きるといわれています。自律神経とは、血圧や心臓、呼吸、汗、体温などの調節に当たる重要な神経であり、自分の意志ではどうにもならないものです。自律神経には、交感神経と副交感神経の2種類があり、大体は、反対の作用をすることで体の働きのバランスをとっています。起立性調節障害は、この自律神経の働きが弱いため、血圧の調節がうまくいかず、その結果、脳や心臓への血液が不足し、立ちくらみや動悸などの症状が出るといわれています。
また、交感神経と副交感神経とのバランスが悪いため、体のリズムを正しく刻むことができず、朝起きが悪かったり何となくだるいなどの症状が起きます。ひどい場合には、これが学校に行けない大きな原因となることがあります。思春期が始まる頃は、体の成長に自律神経の発達がついてゆけず、体の中は非常に不安定な状態にあります。さらに、この時期には生活環境の面で精神的な問題の起きる機会が多く、ものごとに対するこどもの感じ方が敏感であり、反対にこども自らが問題を解決してゆく力が十分ではないため、心と体のバランスも崩れ、はっきりしない様々な症状が出てくることになってしまいます。

起立性調節障害の治し方

一番大切なことは、この病気について本人や家族と学校の先生方がよく理解することです。つまり、今の状態が怠けや気持のゆるみなどから来ているものではなく、自律神経の働きとバランスの悪さ、成長過程によって生じてくるものであること、さらに、体も心も過ごしやすい生活環境を整えることが特に大切な病気であるという認識に立って、根気よく病気と取り組む態度が望まれます。治療は、症状や検査の結果から、いくつかを組み合わせて行われます。
1.一般療法 生活のリズムを整えるため、早寝早起き、散歩などの軽い運動、起きる時の姿勢、食事の仕方など日常生活の中で出来るもの。
2.自律訓練法 自律神経機能を高めるために行う自宅で出来る訓練法。
3.理学療法 ストレッチ体操や、皮膚を冷水で鍛えるなどの方法。
4.心理療法 いろいろ話を聞き、病気に隠されている心の問題を、本人や周りの人に気づいてもらうこと。
5.薬物療法 低血圧には血圧を上昇させる薬など、問題となっている症状に対しての投薬があります。
起立性調節障害は、小学生から中学生の約10%に起きているといわれています。この時期のこどもから、はっきりしない様々な訴えがあった場合、単なる疲れや怠けとして放置せず、小児科にぜひご相談ください。